近年の住宅は「高気密・高断熱」をメリットに掲げる住宅が多くなってきています。
ですが、高気密であるために、ホルムアルデヒドなどの化学物質が外に逃げにくくなり、アレルギーやシックハウス症候群に悩む人もまた増えています。
その逆に今少しずつ注目されてきているのが自然素材である土を使った家作りです。
なぜ土を使った家ではアレルギーやシックハウスになりにくいのか、紹介したいと思います。
目次
高気密・高断熱住宅でと土壁で作られた住宅の違いとは?
高気密・高断熱=レインコート
簡単に例えるなら高気密高断熱の家とは服に例えると、レインコートを着ているような状態です。
熱が外に逃げにくく、発生した熱は中にとどまります。また湿度もまた同じく中に残ります。
その不快な状態を回避するために換気やエアコンなどを用いてその中の温度を下げると、安定します。
それも中にとどまりやすいのはメリットですが、逆に言うと悪くなった空気を外に吐き出すことが難しくなるということもまたデメリットとして挙げられます。
土壁の家=綿の様に水や気温を調整してくれる
逆に言うと、土壁の家は綿素材の服のようなイメージです。
レインコートのような強力な断熱性などは持ち合わせていませんが、その代わりに湿度が高くなった場合には、その湿度をある程度吸収してくれます。
また温度に関しても同じことが言えます。冬になると蓄温し、その熱を放出して
エアコンなどの効きは高気密・高断熱の家にはかないませんが
それがなくとも快適に過ごしやすい環境を自然の力で活用して作り出すことができます。
そのため、エアコンや除湿器・加湿器などが不要になり、省エネ性能の高い住宅を実現させることができます。
なぜ土壁の住宅はアレルギーが発生しにくいのか?
では土壁の住宅はなぜアレルギーが発生しにくいのでしょうか。
それも大まかに分けて2つの理由があります。
1 調湿・調温性が高くアレルゲン物質が発生しにくい。
日本は高温多湿でダニ・カビが自然に発生しやすい環境ができています。
そのため高気密・高断熱の住宅の環境は除湿器や何らかの対策を取って住環境を整えるための対策をとっていく必要があります。
高気密・高断熱であることに加えて強力な換気性能を備えているか、水蒸気を発生させにくい暖房器具などを備えている必要があります。
ですが、土壁の家ではそういった対策をほぼする必要がありません。
調湿・調温性が高いために意識的な対策をしなくてもカビ・ダニが発生しにくい状態が出来上がっているのです。
(ただしじゅうたんを引いたりファンヒーターなどで温めすぎたりすると、発生する確率は高まります。もちろん掃除などもしっかりしましょう)
また土壁はビニールクロスと異なり、静電気を発生させないためほこりが壁に吸着しにくいなどの特徴があります。
補足:ダニ・カビの発生しやすい条件
ダニやカビが発生するにはいくつかの条件があります。
①湿度
ダニは皮膚から空気中の水分を吸収しますので、湿度が高いとそれだけダニの生育環境として好条件になります。
逆に言えば湿度が50%を下回ると、ダニの生存自体が難しくなるため湿度対策をするのは重要です。
またダニの食料の一つであるカビもまた湿度が高いと発生しやすくなります。
②温度
ダニ・カビ高温多湿を好みます。
③えさ
主なエサは人や動物の食べ物カス、皮膚・カビ・他の小生物・植物などです。
そのためほこりや掃除の行き届いていない場所に発生しやすくなります。
④直射日光が当たらないこと
以上がダニの発生しやすくなる環境になります。
2 ホルムアルデヒドを吸着してくれる
土壁そのものもホルムアルデヒド等の化学物質をほとんど含まない素材でもあるのですが、それ以上に大きな特徴があります。
化学物質を吸着してくれるのです。
そのメカニズムは土壁の作りにあります。
ぴたっと隙間なく施工されたように見える土壁は顕微鏡で見てわかるくらいの細かい気泡がたくさんあるのです。
ちなみに吸着するのはアレルゲン物質だけではありません。
においなども吸着します。
例えば家で焼き肉などをしたときの翌日に部屋ににおいがこもっているなんて体験をしたことはありませんか?
そういった心配も土壁の家の場合には緩和されます。
そもそも空気が循環しやすいためにおいやアレルギー物質なども外に出やすく、さらに残ったものも土壁が吸着してくれるので住環境として快適な環境が保たれます。
土壁そのものがアレルギー源を発生させない仕組みをもっている。
高気密高断熱の家と土壁の大きな特徴の違いとして
・高気密・高断熱の家=レインコート
・土壁の家=綿素材の服
という例えで説明しました。
土壁をアレルギー対策という点から見たメリットは以下のようになります。
・調湿・調温性があるためダニ・カビが発生しにくい。
・ホルムアルデヒトなどの化学物質を吸着してくれる
土壁はアレルギー対策という観点から言うと、アレルギーの発生しにくい環境をその素材だけで作り出すことができる優秀な素材でもあります。
アレルギーに悩む方はぜひこの土壁の良さを体感していただければと思います。