断熱性が低いのに温かい?土壁の温かさの秘密

土壁の壁は断熱性が低いから寒いんじゃないか?
そう考えられる方もいらっしゃいます。
土壁には確かに断熱する機能はありません。
ですが、だから寒かったり暑かったりするというわけではありません。
土壁は断熱するのとは違った仕組みで家の環境を調整しています。
 

土壁の断熱性はグラスウールの10分の1

一般的な断熱材としてよく名前が上がるのがグラスウールです。
土壁を断熱材として捉えたときグラスウールの10分の1ほどの断熱性しかありません。
断熱性という意味では、土壁はグラスウールにはかないません。
 

人の体感気温は、温度だけでは決まらない。

単純な断熱性や室内の気温などだけで言えば断熱性能はグラスウールの方が優れています。
ですが、人の体感温度は単純な温度だけではなく、湿度やそれ以外の様々な要因の影響を受けます。
 

調温性が高いから、寒さを感じにくい

断熱性がないから土壁の家は寒いのかと言われるとそういうことではありません。
そこにはいくつかの理由がありますが、体感気温は気温だけで決まるわけではないからです。
単純な気温で言えばグラスウールの家の方が高い傾向にはあります。
ですが、その欠点をカバーする要素が土壁にはあります。
その一つが土壁の調温性です。

湿度や輻射熱の影響から体感温度も変化する

土壁の調温性を支えているのが、土壁の蓄熱性と調湿性です。
土壁は熱しにくく、冷めにくい性質を持っています
土壁は一度温めると冷めにくいという性質があります。
ですので、家の外の気温の影響を受けにくく外気温が寒くても、急激に温度が下がらず中まで熱は伝わりにくくなっているのです。
また体感温度は気温だけではなく、湿度や輻射などの影響も受けます。
土壁には調湿性があり、快適な湿度を保ちやすくする効果があります。
また土壁自体が冬になると土壁が熱をもち、夏になると冷えやすい性質があります。
その結果輻射による影響で快適な環境を作りやすくなります。
輻射とはエネルギーを持つ電磁波が熱を伝える現象のことです。
それだけだとイメージがわかりにくいかもしれませんが、太陽の光を浴びて温かく感じることやものが熱を蓄えることなどがその例としてあげられます。
逆にトンネルの中が夏場でもひやっと感じるのも輻射によるものです。
土壁が温まった結果が身体が温まりやすくなります。
ですので、実際の気温ほど寒さを感じにくくなっているのです。
グラスウールにボードを貼った壁でしたら、蓄熱することはありません。
調湿機能もありません。
 
また土壁には消臭性と遮音性もあります。
たとえ、家の中で焼肉やお好み焼きなどの匂いが籠りがちなものでも、全く匂いません。
またこういった性能は土壁の厚みが増すほど効果が高くなります。
 

熱を断つのではなく温度を整える、それが土壁の魅力

土壁は断熱材としてはグラスウールにはかないません。
ですが土壁にはない蓄温性・調温性・調湿性、そのほかの様々な効果によって快適さを維持しやすくなっています。
断熱性能の有無ではなく、家全体の快適さという観点で見ると、素材の見え方も少し変わって見えますよ。

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